rapportを考える

What is rapport?

と聞かれた際に、明確に説明できないため、記事にしてしっかりと言葉をまとめる。
基本的には“Customer-employee rapport in service relationships”1の内容をまとめたものとなっている。

単語の意味

rapport [ræpɔ́r] はフランス語であり、「ラポール」と発音できる。
研究社 新英和中辞典で、rapportは

(一致・調和を特徴とした)関係 〔with,between〕.

と説明されており、

be in rapport with… …と心が通い合って[互いに理解し合って]いる.
establish a rapport 関係を樹立する.

といった用法がある。

研究論文での表現

Gfeller2らは心理療法士とクライアントの関係を調査する際にラポールを「関係の質」と定義づけている。
その他にも、様々な論文において、「満足のいくコミュニケーションと相互理解によって特徴づけられる関係の質」であったり、「相互作用者間の関係や結びつきの質、特に調和、適合、一致、達成感を特徴とする関係」といった表現がなされている。
ラポールは相互作用の結果を示す指標であるが、その概念 (rapport) は不明瞭である。
そして、これを基にGremler and Gwinner1は、サービス・エンカウンターにおけるラポールを定義し、尺度を開発した。

ラポールは対人関係の多いサービス業において現れると考えられるが、そうした論文は少なく、Gremler and Gwinner1がそのギャップを埋めた。
Gremler and Gwinner1によって、サービス業におけるラポールは2つの次元に分解でき、それらは満足度、ロイヤルティ意向、クチコミに影響している(正の相関が認められる)ことが明らかになった。
サービスは、ユーザーとの対面であること、無形であることといった特性からその評価は難しい。その点で、Gremler and Gwinnerのラポール知覚の尺度の開発は、サービスの判断において重要であると考えられる。

  1. Gremler, Dwayne D and Kevin P Gwinner, “Customer-employee rapport in service relationships,” Journal of Service Research, 2000, 3 (1), 82–104.  2 3 4

  2. Gfeller, Jeffrey D, Steven J Lynn, and W Eric Pribble, “Enhancing hyp- notic susceptibility: Interpersonal and rapport factors.,” Journal of Personality and Social Psychology, 1987, 52 (3), 586.